内心複雑

 福知山線事故の初公判が行われたとかで、ニュースになってました。

「ATS整備怠る」検察指摘=JR西前社長初公判―福知山線事故 (時事通信) - Yahoo!ニュース 「ATS整備怠る」検察指摘=JR西前社長初公判―福知山線事故 (時事通信) - Yahoo!ニュース
山崎前社長が無罪主張=ATS必要性の認識争点―JR西、福知山線事故・神戸地裁 (時事通信) - Yahoo!ニュース 山崎前社長が無罪主張=ATS必要性の認識争点―JR西、福知山線事故・神戸地裁 (時事通信) - Yahoo!ニュース

 ・・・上の記事は、検察って本当に頭いいの?それともこれは情報操作?と思えるような記事ですね。先程やっていたNHKニュースでも同じことを思いましたけど、これじゃまるでATSが最初から設置されてなかったようないいようです。言っておきますが、ATSはちゃんと設置されていました。かつての三河島事故を契機に、国鉄の全路線に設置するとされ、それは今でもJRではきちんと受け継がれています。そもそも、ATSは赤信号を無視して冒進した場合でも自動的に非常ブレーキで列車を停止させる事を目的として設置されたものです。速度制限での速度オーバーを検知・制御するのはATS-Pという比較的新しいATSになってからで、それもそもそもの設計思想を考えれば言ってしまえば「二次的な」機能です。その辺をちゃんと把握してないのは、問題だと思いますが(これが裁判員裁判だったら、尚の事その辺の説明が必要だと思います)。それに、福知山線の設備は当時の法令で良くも悪くも「合法」だったわけです。合法のものを罪として追及していくのは、はっきり言って暴論です。

 追及するべきなのは、安全設備などのハードウェアの不備などではなく、度々指摘されている日勤教育などを代表とした、列車を扱う側の人達の管理体制の不備などの追及ではないのでしょうか?どれだけ安全設備を整備しても、それを扱うのは人間です。今回の事故も、結局の原因はヒューマンエラーなのではないかと思います。責任を追及するのなら、ヒューマンエラーを防ぐための対策の不備を指摘するべきでしょう。

 それに、僕は今回の「刑事責任による事故の責任をとる」事に対しては疑問です。安全上のすべてを統括するトップが事故の責任を取ることは、たしかに社会の義務です。ですが、トップが刑事責任を取って解決するのであれば苦労はしません。綺麗事にはなりますが、二度と事故を起こさない為の体質改善、管理体制の再調査、再編をするのが然るべき責任のとり方ではないでしょうか?

 このまま進んでいったら、きっと世間の記憶から消えていき、歴史の中に埋もれるでしょう。そしてそれは、いつか同じことの繰り返しにつながるのではないかと思います。僕は、それが心配です。